建築用木材について
建築物によく用いられている木材の種類
日本で建築される一般住宅は、木材を使用する在来軸組工法が多く、代表的な樹種がいくつもあります。
- すぎ
日本に多く群生している針葉樹の一種。国産材のなかでは安価で在来軸組工法によく使用されている。
柔軟性があり、加工性が良いため、用途の範囲が広い木材。
主な分布範囲:本州、九州、四国
気乾密度:0.38(g/cm3) - ひのき
耐水性、耐久性が高く、すぎなどと比較すると乾燥が容易で加工性が良い。
建築材としては、柱や土台に良く使用されている。
人工林と天然林があり、現在市場に出回っているのはほとんどが人工林である。
主な分布範囲:福島県より南の本州、四国、九州
気乾密度:0.44(g/cm3) - べいまつ
国内輸入量がべいつがと同じく多い。
針葉樹の中では耐朽性、保存性が高く、加工性も良いため、建築材料として頻繁に使用されている。
赤褐色で年輪幅が広く、比重の高い材をレッドファー、黄色で年輪幅が狭く、比重の低い材を
イエローファーと呼ぶ。
主な分布範囲:アメリカ、カナダ
気乾密度:0.51(g/cm3)
木材を用いた構造材の種類
構造材とは、建築物の構造部分に用いられる材料であり、様々な種類があります。
- 合板
かつらむきした木材を繊維方向が直交になるように積層接着した構造材のことを指します。
直交させながら積層することで、強度が高くなり、割れにくくなります。
また、構造用合板はJAS(日本農林規格)に基づいて製造されており、強度等級やホルムアルデヒドの
放散量が規定されています。
- LVL
かつらむきした木材を繊維方向が同方向になるように積層接着した構造材のことを指します。
合板と同じく、強度、寸法の安定化が特徴であり、尺やせいが大きくなっても生産が可能です。
実際の製造工程では、長い板上にLVLを製造し、注文に応じてサイズを変えてカットを行います。
- 集成材
ひき板を繊維方向が同方向になるように積層接着した構造材の一種。木材の欠点である
割れや節、強度や含水のばらつきなどを改善し、短材などの木材の有効利用も可能である。
一般住宅から大規模建築まで幅広く使用され、特に寸法形状の自由度が高く、湾曲材や
長スパンの集成材を製造できるため、建築物の木造化の促進に貢献しています。
- CLT
ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した構造材の一種。1990年代にオーストリアを
中心に発展し、日本でも中、大規模建築の新たな材料として注目を集めています。
特徴としては、ひき板をクロス上に配列することにより、強度が高く、安定した寸法を生産でき
ることがあげられます。最大12m×3mサイズのパネルを生産(平成30年時)することができ、
それらを床や壁に使用します。
木材の密度、ヤング係数、含水率とは?
比重、ヤング、含水率は木材の強度や状態を知るために必要な情報です。
- 木材の密度
密度とは、ある物体の単位面積当たりの重さを言います。(木材の密度の単位は g/m3)
気乾密度(含水率15%程度)と全乾密度(水が一切含まれない)があり、材料の性質を見極める上で
非常に重要な要素となっています。
一般的に密度が高い樹種ほど、強度が高く、乾燥までに時間が掛かると言われています。
密度のイメージ
木材の細胞は筒形状であり、この形状が大きくなるほど、木材内の隙間が大きくなります。
この隙間を空隙構造と呼び、隙間の大小のことを空隙率と呼びます。
- 木材のヤング係数
ヤング係数とは、物質に外部からの力が加わった際、物質の変形しにくさを数値化したものでヤング係数が
高いものほど、変形しにくく、低いものほど変形しやすくなります。
木材のヤング係数はJAS(日本農林規格)により、等級分けがされています。
- 含水率
含水率とは、木材内にどれくらいの水分が含まれているかを表す数値です。
含水率が20%を超えると木材の強度は低下していくため、住宅などで使用されている木材は、
含水率15%~20%未満で使用されています。
木材の状態と施工への影響
木材の状態を考慮せずに施工を行うと本来の強度を発揮できない可能性があります。
特に以下のような箇所には注意が必要です。
- 節
節とは木が成長する際に成長に必要のない箇所の枝が落ち、
枝の根元が木に取り込まれた部分を指します。
節には、生節と死節の2種類があり、両方とも接合金物やビス
などの強度に影響を与えます。
そのため、可能な限り節を避けて、施工を行う必要があります。
また、良い木材を選ぶ際は、節ができるだけ少ない木材を選ぶ
必要があります。
枝の根元が木に取り込まれた部分を指します。
節には、生節と死節の2種類があり、両方とも接合金物やビス
などの強度に影響を与えます。
そのため、可能な限り節を避けて、施工を行う必要があります。
また、良い木材を選ぶ際は、節ができるだけ少ない木材を選ぶ
必要があります。
- 乾燥に伴う木材の割れ
木材は製材した時点では水を大量に含んでおり、水分を抜かないと使い物になりません。
そのため、木材を乾燥させる必要があります。
しかし、その乾燥の工程で接線方向(年輪に接する方向)と半径方向(年輪に垂直の方向)の
収縮率の差や乾燥応力が原因で木材に割れや変形が発生してしまいます。
この割れにビスなどの施工を行うと本来の強度が発揮できない可能性があります。
そのため、割れを避けて、施工を行う必要があります。