アルミニウムについて

非鉄金属のひとつです。
非鉄金属とは、字のごとく鉄および鉄を主成分とした合金(鉄鋼材料)以外の金属のことです。
アルミニウム以外では銅や亜鉛、鉛などが非鉄金属になります。
純アルミニウムは柔かい金属であるため、銅(Cu)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)などを
添加し合金にすることで強度、耐食性、加工性など金属材料としての特性を上げることが可能です。
例えば、ダイドーハントで使用している6063、6N01であれば、アルミニウムにマグネシウム(Mg)とケイ素(Si)を添加したものになります。

アルミニウムの特性

特性 内容 用途例
1 軽い アルミニウムの比重は[2.7]、鉄の[7.87]、銅の[8.93]と比べて約1/3 ・航空機、車輛など
2 加工性 さまざまな形状に成形可能。アルミ箔のように薄いものから、押出形材を容易に製造可能 ・構造用
3 強度 単位重量当たりの強度である比強度が大きい ・航空機、車輛など
4 熱伝導性 鉄と比べると約3倍の熱伝導率をもつため、熱を伝えると同時に冷却速度にも優れる ・ヒートシンクなど
5 電気伝導性 電気伝導率は銅の約60%だが、比重が約1/3であるから同じ重さの銅と比べると約2倍の電流を通す ・高圧送電線
6 リサイクル 腐食しにくく融点が低いため使用したアルミ製品でも簡単に溶かして再利用可能 ・アルミ缶など
7 耐食性 空気中で酸化皮膜を生成するため錆びにくい。また、アルマイト処理などの表面処理によっても耐食性があがる ・船舶など
8 反射性 赤外線・紫外線・レーダーなどの電磁波などを、よく反射する ・宇宙服など
9 無毒 無臭・無毒なため、その他の金属のように人体や土壌に害をあたえない ・医療用薬品包装
10 非磁性 磁性を持たないため、磁場に影響を受けない ・反射板

アルミニウム合金の種類

展伸材用と鋳物材用とに分かれます。

展伸材用アルミニウム合金の種類と特徴

 

種類 特徴 用途例
非熱処理合金 純アルミニウム (1000シリーズ) ・純度99.00%以上の純アルミニウム系の材料
・加工性、耐食性、溶接性、電気や熱の伝導性に優れている
・強度は低く構造材としては適さない
・反射板
・送配電用材
・放熱材
Al-Mn系合金 (3000シリーズ) ・純アルミニウムの持つ耐食性を低下させず、強度を高くした材料
・代表的なものはMnを添加することにより強度を高くした3003やそれにMgを添加し強度をより高くした3004、3014がある
・アルミ缶
・カラーアルミ
・屋根材
Al-Si系合金 (4000シリーズ) ・Siを添加したもので溶融温度が低い材料
・熱膨張係数が低く、耐熱性・耐摩耗性に優れている
・ろう材
・鍛造ピストン材料
Al-Mg系合金 (5000シリーズ) ・Mgを添加したものでMgの添加量によって種類が多い材料
・非熱処理合金の中では強度が優れている
・代表的なものに5N01、5005や5052などがある。
・缶蓋材
・船舶、車輛などの構造用材
熱処理合金 Al-Cu-Mg系合金 (2000シリーズ) ・代表的なものはジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られる2017、2024がある
・鋼材に匹敵する強度があるが、耐食性に劣る
・航空機材
・鍛造材
Al-Mg-Si系合金 (6000シリーズ) ・強度、耐食性とも良好で多用されている材料
・代表的なものに、60636N01がある
・6063は押出し加工性に優れており、複雑な断面形状が可能
・太陽光架台用金具
・アルミサッシ
・構造用鋼材
Al-Zn-Mg系合金 (7000シリーズ) ・アルミ合金の中で最高の強度を誇る
・Cuを添加した7075は超々ジュラルミンの名称で知らている
・Cuの添加がないものでは7003、7N01などが代表的
・航空機材
・車輛構造用材

※赤文字部は、当社使用合金・金具

鋳物材用アルミニウム合金の種類と特徴

種類 特徴 用途例

非熱処理合金

Al-Si系合金 ・伸びは大きく、熱膨張係数が小さいため鋳造性に優れている ・耐食性は良いが強度は低い ・代表的なものでAC3AやADC1がある ・支持瓦Ⅱ ・門扉 ・カーテンレール
Al-Mg系合金 ・耐食性・強さも伸びも高く、切削性に優れている ・熱処理による強度の向上不可や鋳造性に劣る ・代表的なものでAC7AやADC5、ADC6がある ・架線金具 ・船舶用品 ・建築金具など

熱処理合金

Al-Cu系合金 ・強度は高く、切削性・電気伝導性に優れている ・耐食性、鋳造性が劣る ・代表的なものでAC1Aや、MgとNiを加えたAC5Aがある ・航空機材 ・鍛造材
Al-Si-Mg系合金 ・Al-Si系にMgを添加して熱処理による強度を高めたもの ・鋳造性に優れている ・代表的なものでAC4A、AC4C、AC4CHやADC3がある ・エンジン部品 ・車輛、船舶用部品など
Al-Si-Cu-Mg系合金 ・Al-Si-Mg系にCuを添加し、熱処理硬化性をあげたもの ・鋳造性、耐圧性、耐熱性に優れている ・代表的なものでAC2A、AC2B、AC4BやADC10、ADC12がある ・エンジン部品 ・油圧機器など
Al-Si-M-Nig系合金 ・Al-Si-Mg系にNiを添加したもの ・熱膨張性を小さくし、耐摩耗性を高めたもの ・代表的なもので、AC8A、AC8Bがある ・エンジンのピストン

※赤文字部は、当社使用合金・金具

アルミニウムの表面処理

表面処理名 内容
陽極酸化皮膜処理 (アルマイト) 自然に生成する酸化皮膜は非常に薄い(1nm)が、 電流を流して人工的に厚く強固な酸化皮膜をつくる表面処理
二次電解着色 無色のアルマイト皮膜に電解層を析出させて発色させる方法 析出量が多いほど濃色となり最終的に黒色となる
クリア塗装 電着塗装の一種であり、陽極酸化皮膜の上に、透明合成樹脂塗装を施し、表面を傷つきにくく滑らかに 保護するための表面処理。つや有り、つや消しが可能である
陽極酸化塗装複合皮膜処理 陽極酸化皮膜処理後、さらに塗装を施して耐食性などを一段と構造させた皮膜をつくる表面処理 複合皮膜の種類にA1、A2、B、Cとあり、A1が耐食性・対候性ともに高く、Cになるにつれ低くなる

アルミニウム製品の錆び発生の原因と予防対策

異種金属の付着・接触

アルミニウムに鉄や亜鉛などの異種金属粉末が付着・接触した状態で使用・放置されると、その接触部に電位差が生じ
[電食]状態になり錆が発生することがあります。

→アルミニウム表面の異種金属粉末を拭き取ってください。

塩分の付着

海岸地帯の建物に使用されているアルミニウムが潮風に含まれている塩分を付着したまま放置された場合、錆が発生することがあります。

→アルミニウム表面の塩分を拭き取ってください。また、表面処理を陽極酸化塗装複合皮膜のA1を推奨します。

煤煙、亜硫酸ガスなどの付着

排煙中に含まれる煤煙・塩化物などの有害物質の付着や亜硫酸ガスなどの影響を受けた状態で放置された場合
錆が発生することがあります。

→アルミニウム表面の有害物質を取り除いてください。また、表面処理を陽極酸化塗装複合皮膜のA1を推奨します。

洗浄薬液の付着

汚れ、錆び落とし用の洗剤を使用した際、成分が付着したままの状態で放置しますと、錆が発生することがあります。

→洗剤の残りを拭き取り、アルミニウム表面を清浄な状態にしてください。

アルミニウム合金の表し方

例) A6063S-T5

A 6 0 6 3 S - T 5
 
位置 内容
アルミニウムを表す
合金の種類を表す
6000シリーズ
制定順位、合金の改良型を表す
0 基本の合金
1〜9 合金の改良型
N 日本独自の合金
④・⑤ 合金の識別を表す
材料の形状を表す
S 押出形材
P 板材
⑦・⑧ 質別を表す
T5 高温加工から冷却後、人工時効硬化処理したもの

アルミニウム合金の質別記号

基本記号 定義 意味
F 製造のままのもの 加工硬化または熱処理について特別の調整をしない製造工程から得られたままのもの
O 焼きなまししたもの 展伸材については、最も柔かい状態を得るように焼きなまししたもの 鋳物については、伸びの増加または寸法安定化のために焼きなまししたもの
H 加工硬化したもの 適度な柔かさにするための追加熱処理の有無にかかわらず 加工硬化によって強さを増加したもの
W 溶体化処理したもの 溶体化処理後常温で自然時効する合金だけに適用する不安定な質別
T 熱処理によってF・O・H以外の安定な質別にしたもの 安泰な質別にするため、追加加工硬化の有無にかかわらず、熱処理したもの T1~T10まで存在し、当社ではT5を使用している

質別記号[T]の種類

記号 意味
T1 高温加工から冷却後、自然時効させたもの
T2 高温加工から冷却後、冷間加工を行い、さらに自然時効させたもの
T3 溶体化処理後、冷間加工を行い、さらに自然時効させたもの
T4 溶体化処理後、自然時効させたもの
T5 高温加工から冷却後、人工時効硬化処理したもの
T6 溶体化処理後、人工時効硬化処理したもの
T7 溶体化処理後、安定化処理したもの
T8 溶体化処理後、冷間加工を行い、さらに人工時効硬化処理したもの
T9 溶体化処理後、人工時効硬化処理を行い、さらに冷間加工したもの
T10 高温加工から冷却後、冷間加工を行い、さらに人工時効硬化処理をしたもの

法人のお客様