木造住宅
木造住宅用建築金物の選び方(継手・仕口の緊結について) 【豆知識-木造住宅】
木造建築構法のひとつである軸組工法は、日本古来の伝統工法から引継がれた継手・仕口といった、ほぞ、ほぞ穴による接合方法を基本とし、その工法は時代と共に変化し、現在ではほとんど金物による補強がされ、建築基準法ではその使用が義務づけられています。ここでは建築基準法で定められた「木造住宅の継手及び仕口の緊結」について記載しています。
軸組モデルによる告示第1460号の金物
建築基準法施行令第47条「構造耐力上主要な部分である継手又は仕口」では、継手及び仕口は、国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならないとしています。また、国土交通大臣が定める構造方法は、告示第1460号「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」で規定されています。(建築基準法施行令第47条、および告示 平12建告第1460号全文参照)
●第1460号第一号 筋かい端部の接合方法
筋かいの種類と材寸法に応じた接合方法を選定する。
●第1460号第二号 壁を設け又は筋かいを入れた軸組の柱の柱頭及び柱脚の仕口の接合方法
仕口の接合金物を定める方法としては、次の3つの方法があります。
《1》「告示第1460号第二号の表から選択する方法」
※柱脚部を緊結する接合金物(柱脚金物)には、10kNを超えるものがある。このような柱脚金物は、アンカーボルト
から直接緊結しなければならない。
《2》「告示のただし書きから接合金物を選択する方法(N値計算)」
【平屋部分の場合、若しくは2階建ての部分における2階の柱の場合】
① N=A1×B1-L
N・・・表1に規定するNの数値
A1・・・当該柱の両面における軸組の倍率の差(片面のみに軸組が取り付く場合には、当該軸組の倍率)の数値。
ただし、筋かいを設けた軸組(筋かいと構造用面材を併用した軸組も含む)の場合には、表2~表4に該
当する補正値を加えたものとする。
B1・・・周辺の部材による押さえ(曲げ戻し)の効果を表す係数で、出隅の柱においては0.5とする。
L・・・鉛直荷重による押さえの効果を表す係数で、出隅の柱においては0.4、その他の柱においては0.6とす
る。
【2階建ての部分における1階の柱の場合】
② N=A1×B1+A2×B2-L
N・・・表1のNの数値
A1・B1・・・式①の場合と同じ。
A2・・・当該柱に連続する2階柱の両側における軸組の倍率の差(片側のみに軸組が取り付く場合には、当該軸組
の倍率)の数値。ただし、筋かいを設けた軸組(筋かいと構造用面材を併用した軸組も含む)の場合に
は、表2~表4に該当する補正値を加えたものとする。
B2・・・2階の周辺部材による押さえ(曲げ戻し)の効果を表す係数で、2階の出隅の柱においては0.8、2階
のその他の柱においては0.5とする。
L・・・鉛直荷重による押えの効果を表す係数で、出隅の柱においては1.0、その他の柱においては1.6とす
る。上記の算定式から導き出されたN値を下記の表1に照らし合わせると、継手・仕口に用いる接合金物が
決まります。
《3》「令第82条第一号から第三号までに定める構造計算によって選択する方法」
※①と②を比較した場合、①は軸組(耐力壁)が連続しない単体のみを想定し、②は連続するような軸組(耐力壁)
も想定しているため、 ②のN値計算を用いた方法が①で選択した接合金物よりも耐力の小さい金物ですむことがあ
ります。
※現場・物件によっては、建築主事、建築確認審査員(審査機関)などの判断で使用が制約される場合もございます
ので、ご使用の際は事前の確認をお願いいたします。