屋根について
屋根の基礎知識
屋根の部分名称
①棟
屋根面と屋根面がつながるところを指します。地面に対して水平になる棟は主棟、大棟と呼びます。傾斜がある棟は隅棟、
下がり棟と呼ばれます。
②妻
主棟に対して直角に接する部分、もしくは雨どいを取り付けない部分を指します。妻側の壁面は、日光を遮る部分が少ないため、
紫外線などの影響を受けやすいです。住宅の壁面より先に飛び出しており、その部分はケラバ(下の切妻のところではひらがなで
はなくカタカナになっている)ともよばれます。
③軒
屋根面の先端部分であり、雨どいが取り付けられる側を指します。住宅の壁面より先に飛び出しており、飛び出している部分は
軒出と呼ばれています。
④谷
屋根面と屋根面がつながる部分をさします。雨水が溜まりやすく、排水機能を施すなどの工夫がなされています。
屋根の形状の種類
住宅に採用されている屋根の形状には様々な種類があります。
①切妻屋根
2つの屋根面で形成されており、見た目は本を開いて上にかぶせているように見えます。
一般的な住宅として思い浮かべる際に真っ先に思い浮かべるであろう形状であり、
最もポピュラーな形状と言えます。メリットは、構造が単純なため、コストが安くでき、
雨漏りなどが少なく、メンテナンスが容易な点です。デメリットは、妻側の壁面の高さに
対して、屋根のケラバの出が小さいと、雨水や紫外線などを受けやすいことが挙げられます。
②寄棟屋根
4つの屋根面で形成されている屋根であり、1本の大棟から4つの下り棟が伸びています。
切妻屋根と同様に採用されやすい屋根形状となっています。メリットは、傾斜面が4方向に
あるため、制限が少なく、どの方向から風が吹いても受け流しやすい点が挙げられます。
デメリットは、棟の本数が多くなるため、雨漏りの発生率が上がることです。
③片流れ屋根
1つの屋根面のみで構成されており、片側方向に傾斜していく非常にシンプルな形状をして
います。メリットは、切妻屋根と同様で、単純な構造なため、コスト面、メンテナンス面で
優れていることです。デメリットは、屋根面が一つしかないため、雨水の排水量に限界がある
点や軒出が1か所しないため、それ以外の壁面は、雨水や紫外線の影響を受けやすい点などが
挙げられます。
④方形屋根
4つの屋根面で構成されており、見た目は寄棟屋根から主棟をなくした形状をしてい
ます。4つの屋根面が同じ傾斜をとっており、屋根の構造上、正方形に近い形でないと
いけません。メリット、デメリットは、寄棟屋根と同様です。
⑤陸屋根
1つの屋根面で構成されおり、傾斜が存在しません。(水抜き勾配はあります。)
メリットは、傾斜がほぼないため、屋根面を歩くことができるため、メンテナンス
が容易であることです。デメリットは、傾斜がほぼないため、排水機能が低く、雨漏
りがしやすいことです。
⑥差し掛け屋根、招き屋根
切妻屋根の屋根面を段差違いにした形状、もしくは辺の長さが異なる切妻屋根を組み合
わせた形状をしています。メリットは、段違い部分に窓をつけることが可能であり、
採光性の高さや防風性があることが挙げられます。デメリットは、屋根面と壁面が接する
部分の雨漏り対策をしっかりとしていないと、雨漏りが生じやすい点です。
⑦入母屋屋根
切妻屋根と寄棟屋根が組み合わさった形状の屋根を指します。日本の伝統建築物に多く
あります。屋根面同士の接する部分が多く、雨漏りのリスクやコストが高くなるなどの
デメリットもありますが、防風性や排水性が高い利点もあります。
屋根の構造(小屋組み)
木造住宅の屋根の内部構造(小屋裏)は、木材がいくつも組み合わさってできています。
①棟木:屋根の頂点にて水平方向に取り付く横木。
②母屋:棟木材と並行して垂木材を受ける横木。
③垂木:屋根板(野地板)を受ける材。
④小屋づか:母屋などを受ける垂直材。
⑤小屋梁:小屋づかを受ける横木。
⑥鼻隠し:垂木の端面部に覆うように取り付けられる板材。
⑦破風板:けらば側に覆うように取り付けられる板材。
⑧野地板:屋根材を葺くための下地になる板材。主に構造用合板が使用される。