木材の基礎知識
「木材」とは・・・
木材とは、建築用資材として用いるために伐採された樹木の幹の部分を指し、その用途は、切削など物理的加工(木工)された木製品に限らず、
紙の原料(木材パルプ)また薪や木炭に留まらない化学反応を伴うガス化・液化を経たエネルギー利用や化学工業の原料使用、飼料化などもあります。
樹皮を剥いだだけの木材は丸太(まるた)と呼ばれています。
木材の特性
- 軽くて丈夫
木材は細胞組織がハニカム構造になっており、丈夫な材料です。
さらに比強度(自重に対する強度)は、鉄よりも高く、強さと重さのバランスがとれているので、自重を軽くする必要がある一般住宅などでよく使用されています。
- 断熱効果が高い
木材は空気を大量に含んでいるため、熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が0.12W/mkと低く、熱が伝わりにくいため、鋼材(53W/mk)と比較して断熱効果があります。
- 実は火に強い
木材は、着火した際に表面に炭化層を形成するため、内部に火が進行し難い材料です。
さらに断面が大きくなれば、炭化層が脱落し難くなるので延焼防止性能が良くなります。
⇒ 建築基準法では、防火性能(着火しにくさ)が良い物を用いる様に規制がされています。
そのため、木材に不燃物を貼り付けたり、難燃薬剤を浸透させたりなどの工夫がなされています。
- 優れた調湿性
木材は、加工された後も回りの湿度に合わして、水分の吸収、吐き出す性質を有しています。
湿度が高いと水分を吸収し、逆に水分が低いと体内の水分をはき出して、湿度の調整を行ってくれます。
木材が人にもたらす影響
木材は、丈夫で軽いだけでなく、人の視覚、嗅覚、触感などを通して、様々な効果を発揮します。
視 目に優しい木材
木材を内装に使用した部屋では、暖かみがある、心地良い空間だと感じる人が多いかと思われます。
木材には、光が当たると、波長の短い青や紫などの紫外線は弱まって反射し、赤や橙、黄色などの長い波長は弱まることなく反射する効果があります。
これによって、自分たちの目に届く頃には、暖かみのある内装がうつることになる訳です。
さらに、紫外線を弱くするということは、目に入る刺激が少なくなるということになります。
刺激が少ないということは、ストレスにならないということなので心地が良いと感じるわけなのです。
嗅 木の香りの効果
木材から発する香りには、気分を安らげる効果があり、人の生理面や心理面に良い影響を与えます。
また、樹木の香り成分は、揮発性の成分となりますが水とは違い長く木材の中でため込まれているため、木材の表面を少し削るだけでにおいが再び発生します。
触 木材のぬくもり
木材は熱を伝えにくい素材なので、手で触っても手のひらから熱エネルギーが逃げにくい素材です。
そのため、鉄に触れるのと比較して、木材は暖かい、ぬくもりがあると感じるわけなのです。
木材の樹種について
木材は、大きく分けて針葉樹と広葉樹に分類されます。
- 針葉樹
針葉樹は、その名の通り、針のように先がとがった細い葉をもつ樹木です。また、木自体もまっすぐに高く伸びる性質があり、木目などもはっきりとしています。
ソフトウッドとも呼ばれており、柔らかく、加工が容易なため、建築材などに使用されています。
主要な樹木は、スギ、ヒノキ、マツ、ツガなど。
- 広葉樹
広葉樹は、手のひらを広げたような形の丸みをおびた葉を持つ樹木であり、針葉樹と違い、木自体の背は低く、横に広がるように伸びる性質を持っています。
ハードウッドとも呼ばれており、硬い丈夫な樹木が多く(例外あり)、傷をつけたくないフローリングや家具などに使用されています。
主要な樹木は、ケヤキ、クリ、カバ、クスノキなど。
木材の種類
木材は日本で多く使用されており、国内外問わず様々な種類の木材が用途に合わせて使用されています。
針葉樹類
- 杉(すぎ)
杉は、日本固有の種であり、種類も豊富に存在しています。戦後、全国で一斉に植林が行われた種類でもあり、国内で最も知られている樹種の一種です。
- 桧(ひのき)
桧は、高品質な木材であり、木肌のきめ細かさや仕上がることで美しい光沢がでることから、非常におおくの造作材や木製建具に用いられています。
- SPF(えすぴーえふ)
SPFとは、スプルース(トウヒ)、パイン(松)、ファー(モミ)の頭文字を取ったもので、この3種類は見た目や性質が非常によく似ているので選別することなく、SPFとよばれています。
産地は、北米、カナダなどで日本にも輸出がおこなわれています。
- ホワイトウッド
ヨーロッパに広く分布しており、日本における杉のような樹種になります。日本でもSPFと一緒にホームセンター
などでよく置かれており、手に入りやすい樹種となっております。また、ホワイトウッドはSPFと比べて、節が小さく、見た目が綺麗です。
またコストが変わらないため、ホームセンターではホワイトウッドのほうが多く取り扱われています。
広葉樹種
- 栗(くり)
栗は、水に強く、腐食しにくく、耐久性にすぐれていて、上品な木目が特徴の落葉広葉樹です。
昔は、家の土台や線路の枕木などによく使用されており、現在ではウッドデッキのデッキ材やフローリングなどの床板に使用されています。
- 樺(かば)
樺は、産地に生育する落葉広葉樹で他のおおくの広葉樹と同じく材質は硬く、キズも付きにくいため、店舗などの施設の床材として使用されています。
- バルサ
硬くて、重い広葉樹のなかで例外的に軽く、柔らかいのがバルサです。木材の中に空気が大量に含まれていることで非常に軽くなっており、
軽さの割に強度があるため、加工が容易な木材です。
その他にもたくさんの樹種があり、それぞれに特徴と用途があります。
2×4材(ツーバイフォー材)
2×4材とは?
2×4材とは、SPFやホワイトウッド材などを北米規格にて製材した木材のことを指します。
日本でも2×4材規格としてホームセンターなどで出回っています。主にツーバイフォー構造の部材として使用される2×4材ですが、
コストの安さと加工のしやすさ、ホームセンターなどで簡単に購入できることからDIYとして使用されることもあります。
但し、水や害虫に弱いため、屋外で使用するのは不向きです。屋外で使用する際は適切な防腐、防虫対策が必要となります。
寸法サイズは2インチを基準として、2×4、2×6、1×4、1×6などがあります。(1インチ=19cm)
また、長さはフィートを用います。(1フィート=約101cm)
天然乾燥と人工乾燥
なぜ乾燥が必要なのか?
木材は木を伐採した状態(GR材)では、水を大量に含んでおり、そのままでは本来の強度がでず、また乾燥による木材の収縮によって、
寸法に誤差が出てしまうため、水分を取り除く必要があります。
木材の乾燥方法は天然乾燥と人工乾燥の2種類に分けられます。
- 天然乾燥
天然乾燥とは、屋外または、屋内に伐採した木材を積み上げて、ゆっくりと時間をかけて乾燥を行う乾燥方法です。
(乾燥期間はサイズによって、異なり、120角材で半年~1年ほど)
古くから行われている方法であり、この方法で乾燥した木材は、エアドライ材(AD材)と呼ばれています。
仕上がりは環境に非常に左右されやすく、樹種によって、乾燥に差があるため、置き場の選定が難しく、経験と知識が必要な乾燥方法となっています。
天然乾燥で乾燥した木材は、木材特有の色のままで香りが良く、調湿作用に優れています。
- 人工乾燥
人工乾燥とは、木材に熱を加えて、温度や湿度を調整しながら、乾燥させる方法です。
この方法で乾燥した木材は、キルンドライ材(KD材)と呼ばれています。
乾燥温度には、高温乾燥(100℃)、中温乾燥(約80℃)、低温乾燥(約50℃)があり、温度が高いほど、乾燥期間が早くなります。
天然乾燥と違い、早いサイクルで木材を乾燥させることが可能で、生産コストを低減できますが、乾燥による変色や内部割れが発生しやすく、木材本来の強度が保てていない場合もあり、しっかりとした工程管理と事前準備、乾燥後の養生が重要となってきます。
木材のプレカット加工と手加工
戸建ての工事現場に運び込まれる木材は、プレカット加工もしくは、手加工で現場に納品されます。
この2つの加工方法には、以下の特徴が挙げられます。
- プレカット加工(プレ=あらかじめ カット=切断する)
工場などで機械によってあらかじめ木材加工を行う方法。機械で管理するため、加工速度が速く、製材の画一化が可能です。ただし、木のそりや木表、木裏の見極め、節などの影響は考慮されません。
- 手加工(手刻み)
現場、もしくは工務店の作業場などで大工の手によって、加工を行う方法。プレカット加工と違い、加工速度は遅いですが、大工が木を見極めながら加工を行うため、木材の加工の精度が良い場合もあります。
最近では、プレカット加工が主流であり、手加工を行える大工が減少しつつあります。
戸建て住宅でよく使用される木材商材の呼称と寸法
戸建て住宅では木材がよく使用されています。また、使用する場所によって、サイズや種類を変えて おり、様々な名称があります。
柱(はしら)
柱は、屋根、床、梁などの荷重を支え、下部の構造に力を伝達させる垂直部材を指す。
新築ではプレカット化されることが多い。
一般的なサイズは、105×105、120×120。主な樹種は、スギ、ヒノキ、ホワイトウッド集成材など。
土台(どだい)
木造建築物などの柱の脚部を固定する水平材のこと。柱はこの上に乗る。柱同様にプレカット化されることが多い。
一般的なサイズは、105×105、120×120、150×150。主な樹種は、ヒノキ、ベイツガ防腐剤注入など。
野地板(のじいた)
屋根葺きの下地として屋根面に張る板を指す。新築では針葉樹構造用合板が用いられている。
一般的なサイズは、針葉樹9mm、針葉樹12mm。主な樹種は、スギ、針葉樹合板(構造用JAS材)など。
垂木(たるき)
木造建築で棟から軒にかけた斜材のことを指す。棟木、桁に架して、その上に野地板などを張る。
垂木の間隔は、屋根材や下地材の寸法、重さによって異なり、30~45cmの間隔となる。
一般的なサイズは、45×45、45×60、2×4材など。 主な樹種は、ベイマツ、アカマツ、ヒノキなど。
筋かい(すじかい)
柱や梁などで作った4辺形の構面に入れる斜材を指す。構面の変形を防ぎ、剛性を高めるとともに地震力や風圧力に抵抗する。
一般的なサイズは、45×90、45×105。主な樹種は、ベイマツ、スギ、ホワイトウッドなど。
間柱(まばしら)
壁下地を支持するためみ主たる柱と柱の間に配置する断面の小さい柱のことを指す。45cm間隔で取り付ける。
石膏ボードを取り付ける際の下地にもなる。
一般的なサイズは、27×40、27×60、27×90、27×105、30×105。主な樹種は、スギ、ホワイトウッドなど。
大引(おおびき)
木造建物の1階床構造を構成する。根太もしくは、構造用合板を受ける角材。通常は、床づかにより支持される。
一般的なサイズは、90×90など。主な樹種は、ヒノキなど。
根太(ねだ)
木造の床組みにおいて、床板を受ける角材のことをさす。通常は、大引きや床梁の上に直角方向に掛け渡します。
一般的なサイズは、45×45、45×65など。主な樹種は、ベイマツなど。